これはおいしいお寿司

No.62

ハッピーエンド

-2025.5.5で出していた無配

「セベクさん、どうしてそんなに泣くのですか。辛いことでもありましたか」
 とある日曜の昼下がり、オンボロ寮の談話室には目頭を押さえて俯くセベクと、それを見て慌てふためくスカリーがいた。
「ちが、違う……読んでいた小説が幸せに終わったから感動のあまり……」
 セベクは唇を震わせ、懸命に涙を堪えようとしたが、大粒の涙がぽろぽろと頬を伝った。
 セベクの手には少し前に流行った恋愛小説が握られている。
「障害を乗り越えた先のハッピーエンドは胸がいっぱいになってしまう……」
 ハンカチで顔を覆って言葉を詰まらせた。
「そう、ですか。ねえ、我輩とセベクさんはハッピーエンドに辿り着けると思いますか?」
 スカリーは少し不服そうな顔をして言った。
「僕と……?」
 セベクは涙を拭ってスカリーを見た。
「時を超えて出会えたことをハッピーエンドと呼ぶか、スタートラインと称するかは自由だ。だが、僕は貴様とのこの時間が好きだ。願わくば続いてほしい。それを幸せと呼ぶのなら、僕らは既にハッピーエンドに辿り着いている」
 その言葉にスカリーは目を開き、ゆっくりと大輪の笑顔を咲かせた。




頒布2025.5.4

スカセベ,SS

戻る